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からだ元気通信 第2号

第2回『鍼灸治療の症例報告』

からだ元気治療院鍼灸師 山崎和次

 

■ADL向上のための鍼灸運動療法

腰痛と膝関節痛及び拘縮が原因で歩行困難となり外出が出来ない患者様がいらっしゃいました。患者様宅に伺い、御本人やご家族に転倒防止のための運動指導を行いながら、鍼灸運動療法(運動機能訓練と鍼灸治療)を行った結果、治療開始後、室内の自立歩行が可能となった実例を報告したいと思います。

 

■主 旨

 一般的に、関節拘縮のある患者様には、関節疾患や筋力低下による廃用性疾患、隠れた骨折、神経学的疾患や内臓器疾患等の合併症を抱えていらっしゃる方が多いと経験的に感じます。本症例の患者様は、腰部及び膝関節部の疼痛、長期歩行困難、膝関節拘縮があり、寝たきり傾向の高齢者でした。疼痛があることから治療方針としては、運動器の疼痛発症に対する理学徒手検査と問診による疼痛状態の把握から治療を開始し、同時に個別的運動機能訓練を行い、鍼灸治療前と治療後の可動域確認と疼痛評価等により次回の治療方法を決定する方式をとりました。その結果、疼痛軽減と運動機能の改善が見られ、室内の自立歩行が可能になりました。